ダンス・ダンス・ダンス
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/10/15
- メディア: 文庫
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『羊をめぐる冒険』から4年、激しく雪の降りしきる札幌の街から「僕」の新しい冒険が始まる。奇妙で複雑なダンス・ステップを踏みながら「僕」はその暗く危険な運命の迷路をすり抜けていく。70年代の魂の遍歴を辿った著者が80年代を舞台に、新たな価値を求めて闇と光の交錯を鮮やかに描きあげた話題作。
とんでもない名作でした。人生の一冊に追加です。
羊をめぐる冒険までと比べたらガラッと変わり、今迄の春樹の中では一番物語性があるような気がします。
中高生の頃は音楽も小説もあらする創作物を見て、僕のための作品だと思うことが多かったですが、歳をとればとるほどそういう感覚はなくなってきていました。しかし、久しぶりに僕のためにある作品だなと思いました。
今読んだからこそ考えたことも多かったので読んでよかったです。
様々なところで出てくる、高度資本主義への諦観にも似た批判皮肉文が面白かったです。
ただ、NTRはやめちくり〜と思いました・・・
メイは結局誰に殺されたのかしら。
“妻はコミュニケーションの自立性のようなものを求めていた。コミュニケーションがしみひとつない白旗を掲げて人々を輝かしい無血革命へと先導していくようなシーンを。完全性が不完全を呑み込んで治癒してしまうような状況を。そういうのが彼女にとっての愛だった。僕にとってはもちろんそうではなかった。僕にとっての愛とは不器用な肉体を与えられた純粋な概念で、それは地下ケーブルやら電線やらをぐしゃぐしゃと通ってやっとの思いでどこかと結びついているものだった。すごく不完全なものなのだ。”
なんとなくレミオロメンのモラトリアムを思い出しました。
“人というのはあっけなく死んでしまうものだ。人の生命というのは君が考えているずっと脆いものなんだ。だから人は悔いが残らないように人と接するべきなんだ。公平に、できることなら誠実に。そういう努力をしないで、人が死んで簡単に泣いて後悔したりするような人間を僕は好まない。個人的に”
下巻P211〜P213の文章を周りにあふれる自己嫌悪で自分を責めた気になって、平気で人を傷つける不誠実な人間の頭に刷り込んでやりたい。